中小企業の経営をしている方の多くは、お一人で100%の株式を持っている方が多くおられます。この方が亡くなると、この株式も相続の対象となります。
お子さんが複数いると、株式は同じ割合で相続されることになります。しかし、これは会社を経営していくには不便です。お子さんの誰かが会社を承継するにしても、従業員や第三者が会社を引き継ぐにしても、お子さんの間で意見が分かれてしまうと、会社の意思決定もままなりません。
このような事態にならないためには、遺言をしておくことをおすすめします。遺言をしておけば会社の株式が分割されることを防げます。
遺言がない場合には遺産分割の手続を行う必要があります。
先日、当事務所にご依頼があった件をご紹介します。依頼者の方の配偶者(会社経営者)が亡くなりました。依頼者の方は、その会社を従業員の方に株式を全部譲渡して会社の権利関係を安定させたいとの意向を持っておられました。そこで、裁判所での遺産分割調停等の手続きは利用せず、遠隔地の相続人に対し、手紙や電話で、遺産に関する情報の共有やこちらの意向を伝え、相談から約4カ月と比較的短期間で、依頼者の方のご希望どおり遺産分割協議を成立させることができました。
会社経営者の方には、お元気なうちに会社をどうするかを決めて、遺言をすることをおすすめします。また、経営者の方が亡くなって遺言がない場合には、ご紹介したように、依頼者の方のご意向を踏まえ遺産分割の手続きを進めますので、遠慮なくご相談いただければと思います。
弁護士 渡邊真也