別居や離婚によって,離れて暮らすことになった親と子どもが交流をすることを,「面会交流(めんかいこうりゅう)」と呼びます。
面会交流には種類があります。 実際に会って一緒に過ごす「直接交流(ちょくせつこうりゅう)」,電話,手紙,子どもの写真を送付する等の「間接交流(かんせつこうりゅう)」 があります。
子どもにとって,父母の愛情を感じながら成長をすることは大切なことです。
それゆえ,個別具体的な事情を踏まえた上で,原則として面会交流を実施すべきであるというのが家庭裁判所実務の考え方です。
例外的に,面会交流をすることが「子の福祉に反する」場合,つまり,子どものためにならない場合には,直接交流や間接交流をすべきではないと考えることもあります。
例えば,面会交流を実施することで,子どもが虐待を受ける可能性がある場合,子どもが連れ去られる可能性がある場合,子どもと同居している親が暴力を受ける可能性がある場合等には,面会交流そのものを制限すべきと考えられています。
別居や離婚に至る夫婦関係には,そこに至る事情があり,決して円滑に話し合いが行かない場合もあると思われます。このような局面では,精神的な余裕をなくしてしまうことも特別なことではありません。しかし,子どもは,大人達のそばで,不安を感じています。子どもが受ける精神的負担に気が付き,それを軽減してあげるよう,周囲の大人が努める必要があります。
面会交流は,うまく調整することができれば,子どもが感じる不安や喪失感を軽減する方法になり得ます。
逆に,調整がうまく行かず父母等身近な大人が憎しみ合っている状況は,子どもにとって心理的負担を増すものです。
子どもの心を守るために,子どもの気持ちは大人の意向とは別のものであると認識し,(大人ではなく)子どもにとって何が良いのかを考えることが肝要と考えます。
弁護士 横山 友子