日々の生活の中で、日用品や衣類を購入される際、コストパフォーマンスは大変重要ですよね。
 昨今の物価高により、生活に要する支出が増えていく中で、少しでも安くて良いものを購入したいと考えるのはもっともなことです。
 しかし、過剰に安く生産された商品には、その裏では、誰かにしわ寄せがいっている可能性があります。
 少し前に、中国政府がウイグル自治区の人たちを強制的に働かせているのではないかと疑惑が上がり、世界のアパレル企業の一部がウイグル自治区で製造された綿商品の調達をやめることを発表したり、そのような発表をした企業に対し、中国で不買運動が行われる騒動がありました。
 ウイグル自治区で強制労働があったかどうかは明らかではありません。しかし歴史的にみて、先進国が貧困地域や発展途上国において搾取された労働力による恩恵を受けてきたことは事実です。
 その様な状況の改善を目指した試みとしてフェアトレードというものがあります。
 フェアトレードとは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い発展途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」のことです。
 昨今はSDGs(持続可能な開発目標)が注目されていますが、フェアトレードはその中の「1.貧困をなくそう」や、「2.飢餓をゼロにする」等、複数の目標に関係するものです。

 そして、SDGsでは、企業に対する目標が多く掲げられていますが、「12.つくる責任 つかう責任」では、「2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。」との目標が記載されており、消費者(を含むすべての人)に対する目標も掲げられています。
 このように、フェアトレードはSDGsに関する取組みの一つとして、消費者である我々も意識を持つことが求められています。
 フェアトレードや、企業の有給取得率の上昇や男性の育休取得の奨励等、多くの人々が働きやすい職場環境の調整や環境活動等のような他のSDGsに関する努力は、実現のために費用を要することが多く、コストパフォーマンスの確保とは相反することが多いと思われます。
 しかし、フェアトレードを含むSDGsに関する努力は長い目で見て、みんなにとってより良い世界、社会を実現していくための目標であり、将来的には、皆さんのより良い環境の実現に影響を与えるものです。
 日々の生活では、コストパフォーマンスを意識し、賢く節約した生活をしていても、「これは」というものについては、SDGsの観点から少し割高になってしまっているものを購入してみるのはいかがでしょうか。
 ちなみに私は、コーヒー豆を購入する際は、意識的にフェアトレード商品を購入するようにしています。また、鞄を購入するときは、発展途上国で製造されたものでも、その発展途上国の工場での労働環境の改善や福利厚生に力を入れているブランドのものを購入するようにしています。
 企業がどんなに価値のある努力をしても、購入されなければ、その努力を継続することはできません。皆さんが思うより良い世界、社会の実現に資する取組みをしている企業があれば、少し割高でも、その企業の商品やサービスを購入することは、消費者ができる立派な社会貢献と考えています。
 皆さんは、SDGsを意識して購入しているサービスや商品はありますか?

令和5年1月11日    
弁護士 伊 藤 龍 太