少し前のことですが、地域の公立小学校の高学年のクラスの教室に伺い、いじめ防止に関する授業をさせて頂きました。
約40分の間、レクチャーとグループワークを交えて、「どうしていじめをしてはいけないのか」等、小学生の皆さんと一緒に考える機会となりました。
どうして「弁護士」がいじめの授業をするの?と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
弁護士の使命は、基本的人権の擁護と社会的正義の実現です(弁護士法第1条1項)。「人権」とは、平たく言うと、「自分らしく幸せに生きる権利」というものです。
「いじめ」があると、被害を受けた人は、心や体が傷付き、安心して学んだり、遊んだり、生活するということができなくなり、健康や、時には生命を、侵害されてしまいます。つまり、「いじめ=人権侵害」という側面があるのです。
そこで、福島県弁護士会では、人権の大切さを知ってもらうために、弁護士が学校に伺って小学生・中学生の皆さんと直接お話をさせて頂く活動をしているのです。
当日の授業では、実際にあった事件で、当初は軽い気持ちで「いじり」や「からかい」だった付き合いが、やがてエスカレートして深刻ないじめになってしまったというお話をしました。
また、あることが「いじめ」に当たるかどうかを判断するには、被害者がどう受け止めているかが大事であること、心が傷付いていることは外から見るだけでは分からないので、思いやりが大切であること等をお話しました。
身近なところでいじめが起きている時どのように対処するかについても議論し、「信頼できる大人に相談する」、「被害者に寄り添う」等、児童の皆さんから素晴らしい考えを聞くことができました。
小学生の皆さんが、熱心にメモを取って話を聞いてくれたり、難しい問題について真剣に考え、勇気を持って皆の前で発言してくれたことが、とても嬉しく思いました。
「いじめ」は、行為の内容によっては、刑事事件として暴行罪・傷害罪や、器物損壊罪、恐喝罪・強要罪、侮辱罪・名誉棄損罪等の犯罪に当たることもありますし、民事事件として損害賠償の責任を負うこともあります。
そして、「いじめ」は、子どもだけの問題ではなく、職場のパワハラ等大人になってからの社会生活でも起こりうることです。
今回、小学生の皆さんに学んで頂いた「人権を大切にする」という価値観は、今後の人生を生きていく上でも大事なことだと思います。
困ったことや心配なことがあったら、学校の先生や保護者の方、スクールカウンセラーの先生、そして弁護士にも相談してもらえたらと思います。
弁護士 横山友子