先日、事務所のスタッフと家族で田村市にある株式会社デンソー福島様( https://www.denso-fukushima.co.jp/ )の工場見学に伺いました。 

 この工場は2011年に操業開始となるはずでしたが、東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故の発生により、操業前に震災の避難所として利用されました。私も、震災直後から県内各地で避難所相談を担当しておりましたが、その多くは体育館や会議場などの公共施設でした。民間企業の工場が避難所として運営されたということは、様々な調整で大変なご苦労があったと思います。

 その後も工場の一部が震災で被害を受けた別の企業に貸し出されたこともありました。操業前から福島県の復興のために歩んでこられた事業所です。

 ご存じの方が多いと思いますが、「デンソー」は、自動車部品のメーカーです。工場見学では、主に、冷却装置やフューエルポンプ(燃料タンクからエンジンへガソリンを供給する部品)と、インジェクタ(ガソリンを霧状にしてエンジン内に供給する部品)の製造過程を見学させていただきました。詳しくは、こちらをご覧ください

 見学では、社長、工場長をはじめ、実際の作業にあたっておられる方々から、それぞれの部品、工程ごとに丁寧にご説明いただきました。工場内では、従来の方式に代わって、注文の順番によって生産もするようにラインの見直しがされ、高効率の作業性が実現されていました。そして、ロボットが作業する過程と人間が作業する過程、それぞれにミスを防止する工夫がされていました。

 熟練の方の、勘やコツに頼っていた工程が、ロボットが作業可能なようにシステム構築されています。同時に、実際に作業している方々の柔軟な発想をもとに、動力を用いず「からくり」を使って部品、製品の移動をするなどアナログな感覚も大事にされていました。やはり、デジタル化、自動化されても、人間のかかわりを大事にすることによって、もう一段上に進むことができるんだと実感しました。デジタルだけでない、人間の感覚も大事にしていることがとても印象に残りました。

 また、外気を取り入れて地下を通して循環させることなどで工場全体の冷暖房効率を上げたり、工場で使用する燃料をLPガスから水素に置き換えることにも取り組まれていました。環境に配慮することで、さらなる投資が実現可能となるように日々努力されていることが良く分かりました。

 何より、従業員のご家族を含め、様々な方の工場見学を受け入れて、若い従業員の方も積極的に説明しておられたことは、地域との接点を大事にすることと同時に、自らの仕事を説明することによって、自分の仕事を再認識し、見直すためにも非常に有用な方法であると感じました。

 法律事務所でも、弁護士のみならず事務局も、個人のそれまでの経験の積み重ねである「カンコツ」に頼っている部分が少なからずありますが、これを少しずつでも見つめなおすことと、自らの仕事を外部の方にも説明できるようにすることで相談、依頼される方にとっても、よりスムーズな業務ができるように参考にさせていただきたいと思います。

 また何年か経ったら、見学させていただきたいなと思いました。岩瀬社長はじめ、快く見学を受け入れていただき、丁寧にご説明頂いたデンソー福島の皆様にあらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。

 弁護士 渡邊真也