先日、父親と車で出かけた子ども達が帰って来て、「ママ、聞いて!前を走っていた車に子どもが乗っていて、窓から頭も体も外に出していたんだよ!危ないよね!ママがいたら怒っていたよね!」と言いました。

 私は、「危ないね。絶対にやってはいけないよね。」と答えながら、これまで(危険なことについては特に厳しく)繰り返し注意してきたことが、我が子の心の中でちゃんと規範として根付いていたことを知って、少し報われた気持ちになりました。

 上記の車から顔や体を出していた子どもの年齢は分かりませんでしたが、6歳未満の幼児を自家用車に乗せるときは、(道路交通法施行令で定める例外的な場合を除いて)チャイルドシート/ジュニアシートを使用することが、「道路交通法」という法律で運転者に義務づけられています(法律ではチャイルドシート等は「幼児用補助装置」と呼ばれています)。

 また、法律上の義務の対象外である6歳以上の子であっても、身長が概ね140cmに満たない子は、シートベルトの肩ベルトが首を、腰ベルトが腹部を、圧迫すると危険なので、座高を調節するためのジュニアシート等の使用が推奨されています(大人も子どもも、肩ベルトが鎖骨の間、腰ベルトが両腰骨の間を通す高さが正しいそうです)。

 ちなみに、ジュニアシート使用開始の目安は、一般的には、「年齢は3歳~4歳」、「身長100cm以上」、「体重15kg以上」とのことですので、それ以前は、チャイルドシートを使用することになります(生後直後から義務の対象ですので、産院から自宅へ赤ちゃんを連れて帰る際にも必要になります。)。

 警察庁によると、「チャイルドシート不使用者の致死率は適正使用者の約5.3倍」、また、JAFによると、チャイルドシートを使用している場合でも、取付方法の誤りが6割、着座方法の誤りが5割と、適切に用いられていない場合が非常に多いそうです。

 今月初旬には、家族連れの車が料金所の縁石に衝突して横転し、6歳の子が車外に投げ出されて死亡するという痛ましい事故もありました。一部の報道では、チャイルドシート等を使用していなかったと見られるとのことでした。

 6歳の子ですから法律上の義務の対象外ではありますが、チャイルドシート等を適切に使用していたならば、車外への放出や死傷は防げたかも知れません。

 子どもは、親や祖父母など周囲の大人の言葉や態度、行動を見て、良いことも悪いことも学んでいるので、大人が手本となり、子どもに危険性を教え、安全な環境を整えることが望まれます。

「少しの間だから」「短い距離だから」「子どもがベルトを嫌がるから」「子どもを抱っこしているからベルトが無くても大丈夫」「慣れた道だから」「今まで事故を起こしたことがないから」「買うお金がもったいないから」と、安易に考えずに、大切な子ども達の命や安全を守るために、チャイルドシートやジュニアシートの適切な使用と、安全運転を心がけたいものです。

弁護士 横山 友子