お盆休みが明けました。

今年は、コロナ禍のため例年と異なるお盆休みの過ごし方をされた方も多かったと思います。

ある地域では、他県ナンバーがつけられた車両に傷をつけたりする行為がありました。このような行為は器物損壊罪として刑法に抵触する行為です。

地方によっては県境をまたぐ移動の自粛が要請されたり、帰省の自粛が要請されたりしている地域もあります。

このような自粛意識が強まったため、閉店せざるを得ない飲食店も後を絶たず、経済活動の自粛により、大きな経済的損失を被った方もいらっしゃると思います。

帰省や県境をまたぐ移動は、土産や孫へのお小遣い、飲食やアクテビティなど、様々な経済活動を伴うものであり、大きく見ればこれらもひとつの経済活動です。

自粛による経済的損失も一定程度あることからすれば、個々人が感染症対策行いながら、県境をまたぐ移動や帰省について自粛しないということも合理性のある行動と考えます。もっとも、移動を伴う活動には、感染リスクがあることは確かですので、これらの行為を自粛することにも合理性があると考えます。

つまりは、感染症対策を行っていることが前提ではありますが、自粛を「する」ということも、「しない」ということも、いずれも合理性があり、どちらがより正しいかというのは、現時点で答えはないと考えています。

大切なことは、自粛を「する」人も、「しない」人も、それぞれの考え方や事情があることを踏まえ、他人を尊重することではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響は、長期間続くとも言われております。

周りの人とはもちろん、知らない人ともトラブルやストレスを抱えないために、他人の意思決定を尊重する余裕をもって生活したいですね。

令和2年8月19日

弁護士 伊藤龍太