私が所属している、郡山市消費生活審議会では、市の消費生活センターから事業計画等の報告を受け、センターに対し助言等を行います。
直近の、審議会では、センターに寄せられたSNSを利用した詐欺に関する相談事例についていくつか紹介がありました。
また、弁護士業務のなかでも、SNSを通じた詐欺と思われる相談を聞く機会が増えたと思います。SNSを通じて副業に申込み、100万円以上の教材費等を支払ったが、その後連絡が取れなくなったものや、SNSで知り合った人から投資話を持ち掛けられ、数千万円を支払った、などです。テレビでも、SNS広告で著名人を騙った投資詐欺が疑われる相談が増えていると聞きます。
最近、新聞で目にした手口では、インターネットサイトを見て融資を申し込んだ被害者(40代)に対しチャット通信アプリを使って融資手続きの変更手数料がかかるとのうそのメッセージを送り、被疑者の個人口座に40万円を振り込ませた事案がありました。また他には、被害者(10代)が、動画投稿アプリで表示された副業に関する広告を閲覧したところ、チャット通信アプリに友達申請があり、その者と連絡を取り合い、その者に指示されたとおり、動画配信サイトで動画を閲覧し、画像を送信すれば報酬を得られるなどと儲け話を受け、少額の報酬を受け取りました。被害者は、さらに報酬を得るため経費として指定された口座に15万円を送金したが、その後、報酬が支払われなくなった事案がありました。
このようなSNSを利用する詐欺は、なりすまし詐欺とは異なり、SNSをよく利用する10代から50代くらいがターゲットになることが多いところに特徴があります。
SNSを利用した詐欺は、経済的困窮に付け入り、副業の勧誘をきっかけにするものや、ある程度貯蓄がある50代でも、老後への不安に付け入り、投資話への勧誘をきっかけにするものなどがあります。
私も、短い動画や写真をアップするSNSを閲覧しますが、副業や投資への勧誘に関する投稿を見ない日がありません。
詐欺の手口は日々変化し巧妙になっています。こういった詐欺の被害に遭わないようにするためには、最新の詐欺の手口や詐欺被害に常にアンテナをはって、情報を更新することが大切です。また、やはり、SNSにおいしい話は転がっていないと自覚することが大事です(自戒の念を込めて)。
令和6年11月5日
弁護士 伊藤龍太