今年、大谷翔平選手には、一度ならず、何度も何度も繰り返し驚かされました。

 移籍したドジャースでの開幕を迎えた途端の3月に大谷選手の通訳が賭博で解雇されました。新天地に移って突然、コミュニケーションの要を失ったのですから、普通なら動揺し、一シーズンの成績が上がらないということも考えられます。

 しかし、大谷選手は動じず、シーズンを通して活躍し、打者としてホームラン50本、50盗塁を達成し、プレーオフでも活躍し、守備と攻撃の両方での活躍が必要で、指名打者では無理だと言われていたMVPまで満票で獲得しました。

 それだけでなく、ドジャースもワールドシリーズを制覇して、大谷選手自身も彼にとっては、投手として試合に出られなかったこと以外はすべて結果を残せたシーズンだったのではないでしょうか。

 彼がだれも成し遂げたことがない数々の数字を残し、さまざまな賞を受賞することはもちろんすごいことだと思いますが、何より彼が純粋に野球というゲームを楽しんでいて、楽しんだ結果として、個人として誰も達成しなかった数字を残しつつ、チームとしてもワールドチャンピオンになりたいという目標をたった一シーズンで達成したことに一番驚きました。

 彼には天賦の才能があります。しかし、それ以上に彼は、野球が好きで、これまで30年近くずっと、野球のことを最優先に考え、目標を設定して、そのためにしなければならないことを自分に課して努力を継続してきたのだと思うのです。そんな生き方をしてきた彼はとても幸せなんだろうと思いますし、その努力を結実させたことに心から拍手を送りたいと思います。「目標をもって好きなことを続ける」ことが大事なことをあらためて思い知らされました。

 そして、彼がまたさらなる高みに登るためにどんな目標を掲げるのかにも興味があります。ただ、来年、彼が投手と打者の二刀流として活躍をし、最多勝と本塁打王をとって、ワールドシリーズ連覇したら、彼のさらなる高みは何になるのか…。

弁護士 渡邊真也